手っ取り早いセフレの作り方を教えようか。
単純な話、可愛い系きれい系を避けてブサイクにターゲットを絞るのさ。知っての通りブサイクは普段男から相手にされない分、落としやすいんだ。美人を落とすよりも圧倒的に楽なのが最大のメリット。でも君はこう反論するだろうね。
「ブサイクとセックスする気になんねえな」
そういうのを食わず嫌いっていうんだ。抱いてしまえば女の体に美人もブサイクもないことに君も気づくはず。女の体は顔の影響を受けない。美人の裸が美しく見え、ブサイクの裸が醜く見えるのは目の錯覚だよ。心理学で言うところのハロー効果に似ているかな。
俺は二十三歳の学生。二十三歳と言えば性欲の固まりのようなもので、セックスしたくてたまらず出会い系に登録したわけ。もちろん最初は可愛い系きれい系にチャレンジしたよ。でもその手の女を落とすにはコツがあるようで、俺のような新参者は手も足も出なかったな。無差別にメールを送りまくり、結局デートの約束を取り付けたのは佐賀市に住む二十二歳のブサイクだった。
さすがの俺も引きそうになったよ。でもセックスがしたい。俺は性欲を優先させて彼女に会いに行くことにした。
男性経験はほぼゼロに近い感じで奥手で物静か。そんな女とデートしていてもつまらないから、一刻も早くセックスに持ち込みたい。
「ホテル行こう」
唐突にそう言ったよ。
「いやです。できません」
「君とセックスしたい・・・頼むよ。わかってよ」
「なんでそんなこと言うんですか」
「君がいい女だからだ」
口から出まかせでそう言ったんだけど、彼女の表情が少し丸くなるのを俺は見逃さなかった。それから俺は彼女の声の美しさを褒めたり、長所を指摘してあげたり、ふっくらした女っぽい体を褒めたりし、自分がいい女なのだと思わせることに注力。セックスに持ち込むためなら何でも言おうと決めた。
それがいい刺激剤になったか、彼女はもじもじしだす。
「どうしよっかな・・・迷っちゃうな」
あと一息。
「何を迷っているの」
「本当に私でいいの? 私のようなブスでもいいの?」
「顔全体をいっぺんに見るから綺麗に見えたり見えなかったりするんだ。目と鼻と口。それぞれ個別に見れば美人もブスもない。俺は君の切れ長の目が好きだし、小さな鼻も好き。口もよく見れば可愛い」
我ながら凄い発想だと思ったな。セックスに飢えた男はときに奇抜なことを考えるらしい。
そのあと彼女は簡単に折れた。美人だとこうは行かないだろうな。
俺は狂ったように彼女の体を求めたよ。髪の毛をなで、目だけをじっと見つめ、目を閉じて唇を吸い、乳を揉み、女陰を舐めた。セックスするのに顔のパーツのバランスなど無意味であることを知る。
以上が手っ取り早いセフレの作り方だけど、俺のやったことを実践したら世界観が変わるかもしれないよ。
あれから俺はブサイクをブサイクと思わなくなったからな。
その女性の目を見る。鼻を見る。口を見る。「木を見て森を見ず」ということわざがあるが、まさにそれを実践するんだ。
この世に美人もブサイクもいないことがわかってくる。